みなさま、こんにちは。
福岡店の海江田です。
5月に入り、福岡の日中もあたたかな日が増えてきました。
みなさまは、いかがお過ごしでしょうか。
朝晩の寒暖差はまだまだ残りますし、梅雨の気配も。
体調には十分気をつけてお過ごしください。
さて、今回は先日入荷した【COMME des GARCONS HOMME】田中オム「キューバ期」のシャツをご紹介します。
COMME des GARCONS HOMME/¥30,400(税込)/サイズ:F オンラインショップで見る
2000年代初頭。
マルジェラやヘルムートラングに代表されるミニマリズムが、過剰な装飾やバブル的価値観への反動として評価されていた時代。
同時に、Y2K的なギラついたトレンドや消費至上主義も並行して加速していました。
そのような中、田中啓一が手がける【COMME des GARCONS HOMME】はさらにその流れに逆行するような静かな反骨を貫きました。
その象徴とも言えるのが、通称「キューバ期」(2001~2003年頃)コレクションです。
リラックスした開襟シャツ、柔らかなパステルカラー。
キューバシャツから着想を得たディテールに、斜めに切り替えられたパターン。
いなたさとモードの間にあるその絶妙なバランス感は、
「日常の中の美しさ」を見出そうとする田中オムの哲学が漂っています。
それではなぜ、キューバから着想を得たのでしょうか?
冷戦終結後、キューバはソ連の支援を失い、極度の物資不足(スペシャル・ピリオド)に直面していました。
けれどキューバの人々は、音楽やダンス、衣服といった文化の中に内面的な豊かさを育む姿勢をみせていました。
田中啓一氏は、こうしたキューバの人々の姿勢に深く共鳴をし、
彼の表現もまた、過剰さを排し、生活の温度や人間らしさを手がかりにした静かで芯のある服作りでした。
大量消費でもなく、クールなミニマリズムでもない。
まさにその交錯の中で、"どちらにも属さない服"。
キューバ期の服は、当時のファッション業界や消費至上主義に対するアンチテーゼであると同時に、
「美しさとは "新しさ" によってしか語れないのか?」
そういった問いを、時代に向かって投げかけていたようにもとれます。
時代やトレンドに消費されることなく、
20年以上の時を経て、静かに価値を積み重ねてきた田中オムのアイテム達。
人間らしさに寄り添う温度感や、その美学は私たちのもとに確かに届いているのではないでしょうか。
いま改めて見つめ直すことで、日々の装いに"意味"や"ぬくもり"を宿すことができるのかもしれません。
初めて【COMME des GARCONS HOMME】を手に取る方も、ぜひ店頭にて袖を通していただけたらと思います!
みなさまのご来店を、心よりお待ちしております。