こんにちは。
RAGTAG神戸店の森本です。
気温もだいぶと下がり、やっと長い夏が終わろうとしていますね......。
気温が下がると、反比例するように洋服に対する熱量は高まっていきます。
そんな中で、特に「コムデギャルソン熱」が自分の中で高まっていくのを感じます。
コムデギャルソンは、自分がファッション沼にはまるきっかけとなったブランドで、個人的に特別な思い入れがあるのです。
ここ数年は離れてしまいましたが、最近ジワジワと自分の中で再燃しています。
本日は、私が「ギャルソン狂」全盛期だった頃のアイテムをご紹介します。
2021年秋冬「DARKROOM(暗い部屋)」のシーズンのアイテムです。
「暗闇の中にこそ立ち上がる。私たちは今、闇に包まれたこの世界で、新しいものを見つけ出さねばなりません。しかし、例えば、暗室の中で像を結ぶ写真のように、創造や発展、進歩も暗闇の中から生まれることが出来るのです。」
今となっては少し懐かしさすら覚えますが、当時はコロナ禍の真っ只中。
2021年春夏の「メタルアウトロー」でウイルスへの対抗を謳った次のシーズンで、「暗闇」をテーマにしたコレクションを発表したことに驚いた記憶があります。
闇の中でもがき、新しいものを見つけ、前に進まなければならない。
ウイルスに対する「抵抗」から「共存」へとシフトしていく社会の流れを汲み取った素晴らしいテーマでした。
コレクションの内容としては、シャネルツイードのジャケットやパテントのヒールパンプス、アメリカの現代アーティストWillie Coleの代表作「Heel」のモチーフを使用したウェアが印象的でした。
オムプリュスらしい、フェミニンな要素が絶妙なバランスで昇華されたコレクションです。
ついつい前置きが長くなってしまいました。アイテムのご紹介です。
COMME des GARCONS HOMME PLUS/¥38,500(税込)/サイズ:S
捻じれたパターンが印象的な、シーズンを代表するニットです。
幾何学的な柄に対して、捻くれたシルエット。
オムプリュスの真骨頂ですね。コレクションでは、レザーパンツに白のポジットという、異質な程男性らしい印象でまとめられていました。
エステル素材で編み上げられており、ギャルソンらしい縮絨の雰囲気と、シルエットの不気味さが両立されています。
エステルならではの無機質な光沢感も、シーズンのテーマを後押ししているように思えてきます。
COMME des GARCONS HOMME PLUS/¥57,700(税込)/サイズ:S
続いてはこちらのブルゾン。
先程も触れましたが、アメリカの現代アーティストWillie Coleの作品がプリントされたブルゾンです。
彼の作品はアフリカ人やアフリカ系アメリカ人のイメージを取り入れたミクストメディア彫刻であったり、アイロン、アイロン台、ハイヒール、廃棄された電化製品などを組み立てて、芸術作品へと変換させていくことで知られています。
この「Heel」もそんな彼の作風が生きていますね。単一素材を反復して使う作品は、現代の消費文化を批判しているとも言われています。
「多様性がなくなるかもしれない」という視点でファストファッションの流通の拡大に苦言を呈していた川久保玲は、そのあたりに共感したのかもしれません。
(ただ、CDGは過去にH&Mともコラボしており、ファストファッションに対して完全に否定的なわけではないとも思われます。)
アイテムとしては、このブルゾンは実際着心地はそんなに良くないし、着回しもしにくい。
でも、ギャルソンはそれでいい。と私は思います。
「ギャルソンの服は芸術作品のようだ」とはよく言われますが、その本質は川久保玲の「視点」にあると思います。
私たち一般人では見れない世界、社会の本質を、川久保玲というフィルターを通して表現する。その産物を我々消費者が購入し、楽しむ。
この構図、芸術家の作品を楽しむときと同じなんですよね。
例えば、19世紀の画家が描いた作品を美術館に鑑賞しにいく時であったり、芸術の盛んな島を非日常を味わうために訪れたり。
そういう部分がギャルソンの楽しさであり、「芸術作品」と呼ばれる所以だと思うのです。
ついつい長くなってしまいました......。
私の中の「ギャルソン熱」感じていただけたでしょうか。
この記事では書ききれない部分も多いので、ぜひ店頭で直接お話できればと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。