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BUYER'S VOICE RAGTAGバイヤーのファッション偏愛をお届け!

RAGTAGスタッフもお客さまと同じくらいファッションが大好き。
このコーナーでは、豊富なファッション知識を持つバイヤーたちが、
自ら偏愛するブランドやアイテムをご紹介します。

私の好きなブランド、あのアイテム

CHANEL ”ツイードジャケット”
バイヤーのファッション偏愛

rt銀座店 YANAI

rt銀座店 YANAI

ファッションに精通している人でなくても知っている有名ブランド[シャネル]が何故半世紀以上も女性に支持されるのか?[シャネル]が世の中に残した功績を一つご紹介いたします。

■ツィード素材

シャネル ジャケット ツイード

「着心地が良くて、たとえ車を運転していても女性らしさを損なわない服作りをしたいとずっと考えていたの。」 これは[シャネル]の創設者ガブリエル・シャネルの言葉です。 動きにくく堅苦しいスタイルが主流の女性のスタイルに疑問を感じ、女性が自由を謳歌できる服作りを手掛けてきました。その一つにツィード素材のジャケットとスカートがあります。通称「シャネルスーツ」です。当初、男性服地だったツィードを使用したシャネルスーツはデイタイムにもイブニングにも相応しい華やかさと機能性を兼ね備えた服にココシャネルの手によって生まれ変わります。 そして、女性の社会進出に大きく影響を及ぼしました。時代を先駆けて女性の新しいスタイルを確立していくのです。 ファッション業界に留まらない大きな功績だと思いませんか?

■[シャネル]のマスターピース、ジャケット

シャネル ジャケット マスターピース

ジャケットの芯地と肩パッドを排除する事で堅苦しさをなくし、ジャケットの前身ごろは胸のダーツを入れず、生地の真っ直ぐな地の目に沿う事で形崩れを防ぎながらしなやかさを持たせます。更に肩を高い位置に付けた袖で動きに柔軟性を最大限に引き出すのです。 このようなディテールの工夫で今までに無かった着心地の良さを極めた、女性のためのジャケットが完成しました。

シャネル ジャケット こだわり

また、シルエットが綺麗に落ちるように裾内側に真鍮のチェーンを配します。シルクの裏地にプリントや地模様が入った物が多くあります。 「エレガンスとは外側同様に内側も美しいこと。」 これもココシャネルのこだわりです。

■職人技と進化する素材

シャネル ツイードジャケット

[シャネル]のツィードは今も昔も、美しい刺繍で有名なフランスのアトリエ・ルサージュで作られています。独特なツィードを作り出す機織り機や手作業の工程などは、実はココシャネルの時代も現代もあまり変わらないそうです。しかしながら、その素材は進化し続けています。オーガンジーやプラスチック、紙、スパンコール…。想像を超える素材をツィードに織り込んでいます。[シャネル]のオリジナリティあるツィードは、受け継がれてきた職人の手作業と個性あふれる創造性融合で紡がれています。

■[シャネル]の世界に触れてみたくて

シャネル 廃れないスタイル

最後に、これは余談になってしまいますが、[シャネル]というブランドの素晴らしさを体感した経験談を。 私が入社間もない頃の事ですが、銀座店の[シャネル]を取り扱うフロアを担当することになり、今まで私の中のイメージでしか知らなかった[シャネル]について調べました。知れば知るほど興味が湧き、とても奥の深いココシャネルの思いと時代背景に感銘を受けました。
ある日銀座並木通りを歩いていた時に[シャネル]のお店の前で、ふと[シャネル]の世界感を体験してみたいと思い、予定外に入店してしまいました(まだ銀座タワーもない頃です)。入店してまず目に入ってきたのは写真で見たパリ本店と同じ螺旋階段。ココシャネルが本店でコレクションを行った時の情景が頭を過ぎりました。一階のバッグ、アクセサリーを足早に拝見し、螺旋階段は登る勇気がないので地下へ降りた記憶があります。
そう、目的は[シャネル]の作る服を見るため。地下には顧客らしきマダムと店員さん2人が楽しそうにお話していました。カジュアルな服装で若かった私は明らかに場違いで、不意に入店した事を後悔しながらも服は見ていこうとラックのツィードジャケットに手を伸ばした時、店員さんに「お試しになってくださいね」と声を掛けられました。私は思わず手を引いて「あの…[シャネル]のお洋服に興味があって見に来ただけなんです。今日は買うつもりでは無く…」と正直に答えてしまいました。それでも、その店員さんは「それでしたら、尚更着てみていただかないと」と笑顔でジャケットをハンガーから外し襟元を広げて私に差し出してくれたので、戸惑いながらも細いアーム(当時は細身のシルエットが主流)に手を通しました。こんなに細いシルエットなのにこんなに柔らかくて軽いんだと感動しましたが、鏡の中の私は驚くほど似合っていなかったです(笑)。
その後、店員さんはその年のコレクションのこと、素材の面白さ、ジャケットなのに動きやすく、しかしそのディテールは女性を美しくエレガントに見せてくれる工夫で溢れていることなど説明してくださいましたが、私は緊張のあまりその機能性を確認する身動きを取れず、ただ熱心にその話を聞いていたことを覚えています。後にジャケットとは思えないその柔らかさはニットのように伸縮すること、全て本切羽に作られていて作業しやすいように袖まくりができることなどは当社で商品に触れていく中で知りました。 この[シャネル]での体験は販売員としての私に大きな影響を与えてくれたエピソードです。販売員とは、そのブランドの良さや思いを伝える仕事なのだと実感させてくれる出来事でした。
毎年セレブやモデルが見せる[シャネル]のジャケットを個性的に着こなした姿は、[シャネル]の廃れないスタイルを訴えてくれます。 ファッションに変わらない物があるとしたら[シャネル]のジャケットですね。

rt銀座店 YANAI

YANAI

2000年入社。ブランドがブランドである所以と世の中の人に支持される理由を紐解く面白さ、そしてライフスタイルや心を豊かにしてくれることがファッションの最大の楽しさです。ファッションの効力を最大限にご提案していきます。

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