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BUYER'S VOICE RAGTAGバイヤーのファッション偏愛をお届け!

RAGTAGスタッフもお客さまと同じくらいファッションが大好き。
このコーナーでは、豊富なファッション知識を持つバイヤーたちが、
自ら偏愛するブランドやアイテムをご紹介します。

私の好きなブランド、あのアイテム

Lee の
“101-J”
バイヤーのファッション偏愛

京都店 ISHIDA

■1889年創業の老舗

京都店 ISHIDA リー デニムジャケットを着た様子

[Lee(リー)]は1889年、ヘンリー・デヴィッド・リー氏がアメリカのカンザス州にて創業し、当時はデニムブランドではなく、食品と雑貨の卸売りを行っていました。その後1911年より、デニム衣料の生産をスタート。後にハリウッドスターであるジェームズディーン氏が、映画「理由なき反抗」でLeeのデニムを着用したことで、その人気に火がつきました。日本に上陸したのは1970年代で、現在は[EDWIN(エドウィン)]が販売を手がけています。

■特定のユーザー向けに特化したデザイン

[リー]のジャケットの主要なモデルの中に、91-J、91-B、101-Jがあります。 91-Jは、鉄道労働者専用にデザインされたジャケット。91-Bは、ジッパーを採用した着丈の短いジャケットです。このふたつのモデルは、「シェルトデニム」を使用しており、一般的なデニム生地より強く締め上げ、織りも目が詰まっているので耐久性が高いのが特徴的です。生地の風合いなどもほかの物とは一線を画しています。 同じ老舗デニムブランドの[Levi’s(リーバイス)]の原点が、炭鉱夫のために作られたワークウェアなのに対して、[リー]はカウボーイのために作られたカジュアルウェアからスタートしました。そして同じデニムのアイテムでも、誰に向けて作られているのかによって、デザインに違いが生まれていきました。

リー 101-J

こちらは[リー]の各モデルの中でも突出して人気が高く、幅広い年代の方から支持される“101-J”。[リー]が1931年に発表した、ウエスタンスタイルのデニムジャケットのことを言います。カウボーイラインの製品として、カウボーイを対象に専用にデザインされたアイテム。随所にそれを思わせるデザインが施されています。

リー 101-J 胸ポケット

両胸の2ポケットは、少し内側に傾斜しており、カウボーイが馬に乗りながら、反対側の手を伸ばした時に手を入れやすいように考慮されたデザインです。

リー 101-J ウエストバンド

着丈は短く、ウエストバンドの幅が広め。ウエストバンドの幅を大きくとることにより、より良いフィット感と、風でめくりあがらないような設計になっています。
そしてデニムジャケットについているパーツに着目しても、カウボーイを元に作られている理由がよく分かります。

リー 101-J アジャスタ

バックの部分はバックルバックの代わりに、下部分の両サイドにアジャスタが付いています。また袖の部分も、リベットではなくバータックで補強しています。カウボーイが元となっているという理由はここで、金属パーツが無いのは、落馬や強い衝撃を受けてもケガをするリスクが少なくなるからなのです。また、樹脂ボタンは金属に比べて、衝撃があった時に体が傷つく前にボタンが壊れてくれるという利点もあります。ただ、フロントボタンは他の箇所より負担が大きくかかるので、金属製のものを採用しております。

リー 101-J フロントボタン

そして「101-J」の顔であるのが、ギザギザの補強ステッチ。これはカウボーイたちが馬に乗った時の胴体前面の負担のおさえるためのものです。2ポケットから下に伸びている平行のステッチは、見た目のアクセント・コントラストのために入っています。カウボーイのおしゃれ心にも気を使っているんですね。

■左綾織りのデニム生地

[リーバイス]やほかのブランドと違い、ヴィンテージ[リー]のデニムは、左綾織りのデニム生地を使用していました(1940年代~1970年代前半のもの)。今回紹介させていただいた101-Jは、1980年以降の所謂レギュラーと呼ばれるもので、右綾織りのタイプになります。左綾織りの一番の特徴は、色落ちが進むにつれて「縦落ち」とよばれる経年変化が明確に起こることです。この綺麗な立落ちが、ヴィンテージマニアたちを虜にさせる理由の一つです。現行のモデルは右綾織りの生地を採用していますが、古着屋さんやリユースショップにはまだ左綾織りのデニムが残っているかもしれません。こうして知るほど探しに行ってみたくなるのが、デニムの面白いところであり、また魅力でもあります。

京都店 ISHIDA リー 101Jを使ったスタイリング

ISHIDA

2018年入社。古着やミリタリーのアイテムと、インポートブランドをミックスさせるのが自分のファッションテーマです。またブランドのバックボーンや年代ごとのアンダーグラウンドなカルチャーを落とし込んだアイテムも好きです!

BUYER'S VOICE

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