RAGTAGスタッフもお客さまと同じくらいファッションが大好き。
このコーナーでは、豊富なファッション知識を持つバイヤーたちが、
自ら偏愛するブランドやアイテムをご紹介します。
私の好きなブランド、あのアイテム
名古屋パルコ店 店長 GOTO
世界的スポーツブランドとしての地位を確立する[adidas(アディダス)]。
象徴的なスリーストライプラインは今や知らない人がいないほど、世界中で親しまれているドイツ発祥のスポーツブランドです。
かつてオリンピック等の世界的スポーツ大会で活躍する選手達が履くことで人気を博した[アディダス]ですが、80年代以降になるとスポーツ選手だけでなく、様々なアーティストが着用し、またスケートボーダー向けの「adidas skateboarding」を発足するなど、音楽やファッションとも大きな結びつきができていきました。ただのスポーツブランドではなく、様々なカルチャーとも密接に関係している点も、私としてはぐっとくるポイントです。
中でも「SUPERSTAR」、「STAN SMITH」、「COUNTRY」など世に残る名作は、スポーツシーンだけでなく、ファッションシーンにも大きな影響を与えています。
そんな名作尽くしの[アディダス]の中で、私が愛用しているモデルが「CAMPUS」。「SUPER STAR」や「STAN SMITH」と肩を並べる名作モデルです。
1970年初期に発売された「TOURNAMENT」というモデルをベースに1983年に発売されたモデルがオリジナルの「CAMPUS」。バスケットボールプレイヤーやブレイクダンサーの足元を彩ったMADE IN FRANCEのクラシックな名作です。BEASTIE BOYSが愛用したことで、ファッションアイテムとしても人気に火が付き、ストリートシーンのアイコンになりました。
「CAMPUS」はスウェードアッパーの上品な雰囲気、無駄のないすっきりとしたシルエットで、コーディネートを選ばない汎用性が魅力であり、トレンドに左右されない普遍性があります。それでいて、サイドのスリーストライプラインを配したデザインが[アディダス]ということをしっかりと主張しています。ただシンプルなだけでないバランス感の良さに、誕生して40年近く愛される続ける「完成したクラシックモデル」だなと感じます。
発売後、惜しまれつつも廃盤となりましたが、90年代に復刻しましたが、オリジナルと比べるとシルエットやディテールに差があり、人気があまり伸びずでした。ヴィンテージ市場では復刻モデル発売後も、オリジナルの価格高騰が起き、MADE IN FRANCEの「CAMPUS」は幻のモデルと言われるまでになりました。
その後、ファンの期待に応えるかのように、2008年にオリジナルを忠実に再現して復刻したモデルが「CAMPUS 80s」。私が愛用しているのもこの「CAMPUS 80s」です。
オリジナルを忠実に再現した「CAMPUS 80s」は90年代に復刻した「CAMPUS」とは異なるポイントがいくつかあります。 最も大きなポイントは「シルエット」。90年代の「CAMPUS」はぽってりとしたシルエットで、ワイドパンツやストリートファッションと相性の良い、ボリューム感のあるシルエットが特徴です。これはストリート、ヒップホップ等のカルチャーが流行した当時ならではなのかなと思います。
一方で「CAMPUS 80s」はシュッと細身のシルエットが特徴的。トゥ部分の高さをぎりぎりまで抑えているため、いわゆるスニーカーの持つカジュアルさや子供っぽさを払拭しており、上品な雰囲気がセットアップやジャケパンとも好相性で、大人スタイルの足元の定番となっています。
また80年代に発売されていた当時のアッパーの質感を再現した、起毛感のあるピッグスキンヌバック、6mmのアクリルシューレースなど、マニアックなまでの再現はスニーカー好きを唸らせる仕様です。
90年代のリバイバルやスニーカーブームの流れで、ここ数年は様々な機能を搭載したハイテクスニーカーに人気が集まっていますが、「CAMPUS」は[アディダス]が誇る究極のスタンダードの形だと感じます。私にとって「CAMPUS」は、今後トレンドが移り変わっても、飽きることなくクローゼットの一軍であり続けるスニーカーです。
GOTO
2014年入社。2019年より名古屋パルコ店店長。カジュアルからアウトドア、ストリート、キレイ目まで幅広いジャンルでブランドの魅力をお届けいたします。