
No.16 「1985年生まれの名品たち。」PRADAのナイロンバッグ
BACK TO 1985|
イマに続く1985年の40のコト。
1985年に生まれて、現在もその輝きの失せない名品を、RAGTAGのバイヤーがご紹介。
今回は[PRADA (プラダ)]のナイロンバッグについて。
text : 銀座店 バイヤーHIBINO
photo : TAWARA(magNese) / edit : Yukihisa Takei(HIGHVISION)

Profile
HIBINO
銀座店 / バイヤー
ラグジュアリーブランドを中心に幅広くお買い取りをさせていただいています。年代が前の物や使われた物でも高くお買い取りできるのがラグジュアリーブランドの強みです。 大切なお品物を次につなげる橋渡しとして色々なお話をお伺いしたいと思っています。お悩みのお品物があればぜひ一度ご相談ください。
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[プラダ]のナイロンバッグとは?

ラグジュアリーブランドを代表するイタリアブランド、[プラダ]。1913年にマリオ・プラダとマルティーノ・プラダの兄弟が、[プラダ]の1号店として皮革製品店「フラテッリ・プラダ」を開業したのが歴史の始まりです。その後一時は勢いを落としますが、1978年に創業者の孫にあたるミウッチャ・プラダがオーナー兼デザイナーに就任すると、その提案は一新され、世界的な人気を博すようになります。
今回ご紹介するのは、「[プラダ]と言えば?」という問いに対して、多くの人が「あのナイロンバッグ」と答えるほど代表的なモデルです。ナイロンバッグが誕生したのはRAGTAGより1年前の1984年。ほぼ同い年ですね。日本では90年代に大ブームが巻き起こり、当店でも数多く取り扱うようになりました。
[プラダ]のナイロンバッグは、「ハイブランドのバッグを気軽に日常使いできる実用的なデザイン」が人気に火をつけました。耐久性や撥水性に優れており、軽くて丈夫。お手入れがしやすくタイムレスに使えることができる[プラダ]のナイロンバッグは、ミウッチャ・プラダの「日常を贅沢に着飾る」というコンセプトをそのまま表したようなモデルです。
このバッグはラグジュアリーブランドの入口のような存在で、私も当時お小遣いを貯めて購入した記憶があります。
ナイロンバッグの革新的な変遷

そのナイロンバッグを生み出したのもミウッチャ・プラダ。[プラダ]は1913年に創業したイタリア王室御用達の高級革製品ブランドでしたが、ミウッチャはブルジョア的なものとは真逆の新しい価値を探していました。
1970年代後半にミリタリー用品でパラシュートやテントに使われていた「ポコノ」というナイロンとの出会いがあり、その後アイコンとなるナイロン製のバックパックが生まれました。ラグジュアリーブランドのバッグをナイロンで、さらに当時はバックパックは女性が持つものではなかったこともあり、その提案はとても革新的でした。
そのナイロン素材は[プラダ]を代表するものとなり、バッグだけでなく財布などの小物でも使われるようになります。ナイロンなのに上品さが保たれているのは、その素材もありますが、スチール製のPRADAのロゴの存在も大きいと思います。ナイロンとスチール製のロゴプレートが一体となり、[プラダ]を象徴するものとして現在も君臨しています。
2019年には新しいナイロンバッグのコレクションとして「Re-Nylon(リナイロン)」を発表しました。「Re-Nylon」は漁網や繊維廃棄物などをリサイクルして作られる「ECONYL(エコニール)」という再生ナイロンを使用しています。現在ではサスティナビリティという観点においても注目されるコレクションにもなっています。
ラグジュアリーブランドを身近なものにした時代の先読みも素晴らしく、今後も時代やお客様のニーズに寄り添いながらアップデートされるナイロンバッグ。次はどんなデザインなんだろうと個人的にもとても楽しみにしているアイテムです。