[RAGTAG ART PROJECT]<br/>川島優

[RAGTAG ART PROJECT]
川島優

FEATURE

2025.11.17

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    今回の展示作品「Radiant」について

    Radiant

    Radiant
    2017年

    日本画

     

    《Radiant》は、「不安」をレフォルメ(Ré-former)する制作行為を改めて再認識し、その能動的な感情の根源となる火種を描いた作品である。筆者は典型的なアニメ世代であり、幼少期はテレビを付け、日時に応じて決まったチャンネルを押す習慣があった。放映開始のオープニングからアニメ全体のストーリーやコンセプトを想起させる主題歌を始め、簡略化された人物形態に世界構成、更には登場キャラクターの役割分担を約二分弱で垣間見ることが出来る。そうした理解しやすく、センセーショナルな表現が筆者をテレビ画面の中に引き込んだ。又アニメの世界からイメージ を得て、自身の日常生活に違った視点を導入し、キャラクターになりきる遊びは、自身の生きる現実を理解しようした模索行為だったのかもしれない。現在では、テレビからスマートフォンといった携帯電子端末の方が日常的に目を通す時間が多い分、あらゆる電子情報と現実の比較の中で自身を築いている。このことからも筆者に影響を与えて続けてきたのがアニメであり、電子画面であると言える。このことから、筆者を照らす電子画面の光を第一印象に作品タイトルを《Radiant》(光点)とした。

    更に、《Radiant》1086年平安時代の《仏涅槃図》から着想を得ている。《仏涅槃図》には仏教の教祖である釈尊が祭壇上に横たわり、眠るよう に入滅する様子が描かれており、菩薩を始め、仏弟子や大臣、動物が集い、悲しむ姿からは釈迦の人望の高さとその信仰の対象を失った喪失感が見受けられる。又、釈迦の入滅が死と再生を繰り返す輪廻の解放を意味しており、その絶対的存在の終焉と行き先の見えない不安が世紀末到来の予兆を示している。この悲しみと絶望をレフォルメ(Ré- former)し、新たな自己価値の誕生を描いたのが《Radiant》である。 この作品は、過去の存在価値に固着するのではなく、これまでに成長してきた過程や経験から生成変化していく現在進行形の自身に新たな価値と可能性を持ち、改めて自身の過去を肯定することで、前向きに生きる「希望」を自らの手で作り出すことを試みている。

    川島優 Profile

     

    -1988
    静岡県に生まれる

    -2012
    再興第97回院展初入選

    -2013
    愛知県立芸術大学美術学部美術学科日本画専攻首席卒業
    愛知県立芸術大学卒業作品展桑原賞受賞
    第68回春の院展初入選

    -2014
    損保ジャパン美術賞FACE展グランプリ受賞
    損保ジャパン美術賞FACE展2014オーディエンス賞受賞
    損保ジャパン東郷青児美術館同時受賞作「TOXIC」買上
    愛知県立芸術大学25年度優秀学生賞受賞
    第6回トリエンナーレ豊橋星野信吾賞展優秀賞受賞
    豊橋市美術博物館受賞作買上
    再興第99回院展奨励賞受賞 院友推挙
    個展「川島優日本画展-GEOMETRY-」(名古屋松坂屋)
    個展「川島優日本画展-日本画を未来にツナグ」(秋野不矩美術館)

    -2015
    第6回東山魁夷記念日経日本画大賞入選
    個展「川島優日本画展」(福山天満屋)

    -2017
    個展「川島優日本画作品展-Flag-」(松坂屋静岡店)

    -2018
    愛知県立芸術大学大学院博士後期課程修了・博士号取得

    -2021
    個展「重力 川島優日本画新作展」(京阪百貨店)

    -2023
    郷さくら美術館 桜花賞展 入選
    個展「川島優日本画展-Xenon-」(日本橋三越本店)

    -2024
    Whitestone gallery Soul   Yu Kawashima Exhibition 『Pathos』
    浜松市平野美術館 特別展『日本画の極みを求めて-未来を担う東海の作家たち-』
    長江洞画廊  川島優日本画展『De-culture』
    第79回春の院展、第109回再興院展入選

     

    パブリックコレクション
    SOMPO美術館
    豊橋市美術博物館
    愛知県立芸術大学
    平野美術館
    ウッドワン美術館
    郷さくら美術館

    現在 日本美術院院友 日本美術院研究会員

     

    展示場所

    Radiant  2017年 日本画 原宿店1F展示風景

    2025年11月~
    RAGTAG原宿店 1F

     

     

     

    同時に原宿店では、花田優一氏の作品を同じく1Fに展示しています。お近くへお越しの際は、こちらもぜひご覧ください。

    「[RAGTAG ART PROJECT ] 花田優一」の記事を読む

     

    RAGTAG ART PROJECTとは

    RAGTAG、rtでは「いいものをずっと。大切に。」という想いを社会に広めるため、さまざまなプロジェクトを行ってきました。
    それらのクリエイターによって創られた衣服はどれも、ただ 着ることが目的の“道具”としての服とは違う “アート” 作品。
    また、アート自体もクリエイターにとってはインスピレーションの源。
    ファッションとアートは、感情や思考を表現する点で密接な関係にありました。
    そこで今回は、ファッションに影響を与える “アート” の世界に注目。

     

    RAGTAG、rtの店内に作品を展示いたします。
    お買い物やお買い取りをしておしゃれを楽しむみなさまに、アートのある居心地の良い空間を。

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