No.21 「1985年生まれの名品たち。」THE NORTH FACEのマウンテンジャケット
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イマに続く1985年の40のコト。
1985年に生まれて、現在もその輝きの失せない名品を、RAGTAGのスタッフがご紹介。
今回は[THE NORTH FACE]のマウンテンジャケットについて。
text : 新宿店 バイヤー KISHIWADA
photo : TAWARA(magNese) / edit : Yukihisa Takei(HIGHVISION)

Profile
KISHIWADA
新宿店 / バイヤー
ファッションとそれにまつわるカルチャーが好きで、たくさんのブランドを見て袖を通してきました。モード、カジュアル、ストリート、アウトドアなどジャンルにとらわれず、楽しくお客様とお話しできればと思います。
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マウンテンジャケット誕生秘話

“マウンテンジャケット”は、1985年に誕生した[THE NORTH FACE(ザノースフェイス)]を代表する人気モデルです。
現在では街でも着用する人の多いアイテムですが、元々は山岳アスリートの遠征を支えるために作られたもので、当時としては高精度なスペックを搭載した本格的な山岳用アウターシェルでした。当時のデザインディレクターであるサリー・マッコイが、アスリートとともにエベレストのベースキャンプに調査に赴き、その中で開発された「エクスペディションシステム」がベースとなっています。これは環境に合わせてジップでレイヤーを取り外しが出来る、機能的なシステムでした。
ユーザーの立場に立った製品の開発、マーケティングの結果、ブランドは成長し、[ザノースフェイス]は国際南極横断探検隊専用の装備や極地用のウェアまで任されるようになりました。
象徴的な切り返しのカラーリングには秘密が?

1985年以前のデザインは、ブランドロゴがボタンなどに入るだけという控えめなものでしたが、この頃からデザインを一新。前後の目立つ場所にロゴを入れることにより、一目でブランド認識ができるように変更しました。これは、撮影などの際に前後どちらから写しても、ロゴが目に入るようにとの意図だったそうです。
また、象徴的なデザインとして忘れてはいけないのが、黄色や緑、赤、青などビビッドな色とブラックの切り返しによるカラーブロック。今でこそブランドのアイコニックなデザインといえますが、当初はデザインとしてこだわられたものというよりは、生地発注の流れで最低発注数量を超えるために黒の生地を用意したことから、“ヌプシジャケット”などと共通で使われたものだったそうです。
近年のモデルにおいては、表地には防水性に優れたGORE-TEX プロダクトが2層使われており、裏地には軽量で強度のある素材を採用。そのため、雨や雪にも強く、ウェア内のムレを排出するので快適な着心地が得られます。カラーリングも魅力のひとつですが、テクニカルなプロダクトとしてのクオリティの高さがが長く愛される理由ではないでしょうか。
NYから始まった、ファッションアイテムとしての認知

マウンテンジャケットは次第にニューヨークを中心にファッションアイテムとしても認知され始め、HIP HOPやグラフィティーなどのアンダーグラウンドカルチャーと融合。ニューヨークストリートファッショのンアイコンブランドとなって行き、その波は日本にもやってきます。
[ザ・ノース・フェイス]は、アウトドアブランドとしてだけでなく、ファッションブランドのひとつとしての認知も広がり、[COMME des GARCONS(コムデギャルソン)]、[Supreme(シュプリーム)や[MM6(エムエムシックス)]、[sacai(サカイ)]などのトップブランドとのコラボにより、今では当たり前になったトップメゾンとアウトドアブランドのコラボレーションの先駆けにもなりました。
自然の中での機能服として、アウトドアブランドの本質を大事しながら、人それぞれのライフスタイルに合わせたモノづくり、トップメゾンとの協業などによって、ファッションアイテムとしても支持を集め、老若男女からも愛されるようになったマウンテンジャケット。この先もどのように進化していくのか、楽しみなアイテムの一つです。



