ジル・サンダーのミニマルの美学
Buyer's VOICE
1968年にドイツにてハイデリー・イリーネ・ザンダーによってスタートした[ジルサンダー]。50年以上の長い歴史の中でも揺るがないブランドの軸はミニマル。そんなミニマルの秘密を紐解きます。
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CHUBACHI
銀座店 / バイヤー
rt銀座店の1階フロア担当の中鉢です。お買い物ついでにお買い取りについても気軽に気になることがあればぜひお気軽に聞いてください。そのまま6階のお買い取りフロアにご案内することも可能です!百貨店取り扱いブランド全般や日本人デザイナーブランドやTheoryが特に得意ブランドです。
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鉄の女
[ジルサンダー]と聞くと、創業者のジル・サンダーが作り上げてきたミニマルなデザインと、上品で知的なイメージが思い浮かぶのではないでしょうか。これはジル・サンダーの「ミニマルの美学」が色濃く反映されています。
ミニマルの女王と呼ばれたジル・サンダーは「鉄の女」と言われるほど服作りに妥協を許さない姿勢で知られています。鉄の女ってかなりのパワーワードですよね…。
あまり言われたくない言葉ではありますが、ただその揺るぎない信念がジル・サンダーが表現する「シンプル」とは全く異なる「ミニマルの美学」を世の中に定着させることになります。
ミニマルの美学
1990年代に創業者であるジル・サンダーがデザイナーを退任すると、そこから現在に至るまで[グッチ]で経験を積んだミランヴィクミロビッチや、ラフ・シモンズなどの著名なデザイナーがその後を引き継ぐことになります。その中でもジル・サンダーが作り上げた「ミニマルの美学」は失われることなく受け継がれてきました。
そんな[ジルサンダー]のお洋服ですが、シンプルなものが多く、一見するとごくごく一般的なものに見えるかもしれません。しかし、大量生産の平面的なシンプルなお洋服とは全く異なるということは、一度袖を通していただければすぐに実感していただけます。
“7DAYS SHIRTS”
こちらは現デザイナーのルーシー&ルーク・メイヤー夫妻が作り出した “7デイズシャツ”。
月曜日から日曜日までの1週間に対応した、デザインの異なる7種類のシャツというコンセプトも面白いのですが、こちらのシャツにも、単なるシンプルではない、ミニマルのこだわりがあります。
近年の[ジルサンダー]らしいゆったりとしたAラインのシルエット。それを支えるのは、綿密に計算されたパターンと、裾の始末です。
首から肩にかけてのステッチの位置を微調整することで、身頃が地面に向かって垂直に落ちるのではなく、やや身体から浮くようにして落ちていきます。
また、裾は通常のシャツよりも、厚みが出るように始末されており、細かな作業によって作られたこの縫い目が針金のような役割を果たすことで、立体的なシルエットをより強調してくれます。
よく「空気を含んだような美しいシルエット」などと表現されるのは、こうした細かな計算と確かな技術の賜物です。
[ジルサンダー]はこうした、着る人が美しく、快適にいるためのこだわりを、シンプルなデザインのお洋服に込めることで、ミニマルへと昇華しているのです。
最後に
鉄の女 ジル・サンダーが生み出した「ミニマルの美学」を感じていただけたでしょうか。
一目見ればわかる[ジルサンダー]のお洋服の美しさは、着ていただくことでより、その魅力を体感していただけること、間違いなしです。ぜひ一度、袖を通してみてください。ご来店お待ちしております。