No.01 RAGTAG 創業者 高橋直樹が語る40年

No.01 RAGTAG 創業者 高橋直樹が語る40年

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イマに続く1985年の40のコト。

RAGTAG 40th

2025.06.16

今から40年前の1985年6月16日、東京・原宿にRAGTAGの第一号店は誕生しました。
RAGTAGを運営する株式会社ティンパンアレイを創業したのは、当時若干21歳の高橋直樹氏。代表取締役として事業を拡大させながら約30年間活動し、2014年に勇退されていますが、今回は改めて創業者としてインタビューを打診。ファッション業界にいたわけでもない若者が、突然新たなブランドリユース事業を始めた理由、その創業の想いや、経緯をお聞きしました。

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    21歳で創業を決意した、ある象徴的な出来事

    創業当時のRAGTAG原宿店

    開業間もない頃のRAGTAG原宿店の店内の様子(当社資料)

     

    ― RAGTAGを創業された40年前の1985年当時、高橋さんご自身はファッションをどのようにご覧になっていたのでしょうか。

     

    高橋 : 正直なところ、僕はファッションにあまり詳しくなかったので、当時の流行を語れるほどじゃないんですよ(笑)。でも、創業して気づいたのは、多くの人の憧れと現実のギャップが本当に大きかったってことなんです。憧れのブランドが手に入らないから、妥協して選ぶのはすごく粗末な服だったりして…。それでも一生懸命コーディネートして頑張っている姿を見ると、なんだか痛々しい気持ちになってしまったんですよね。

     

    ― 創業の前に、ヒントになるような象徴的な出来事があったということですよね。

     

    高橋 : 話せば長くなるんですが、ざっくり言うと、ファッションにあまり興味がなかった僕が友人と一緒に当時人気のブランドショップを訪れた時のことです。店内で見かけた高校生くらいの女の子二人が楽しそうに話していて、その洋服がすごく気に入っている様子でした。でも少しして、「でも高くて買えないね」と寂しそうに言うのを聞いて、なんとも言えない気持ちになったんです。一方で、店の中央にいた裕福そうな40代くらいの女性が何人もの店員さんを使って次々と洋服を持ってこさせて選んでいるのを見て、なんだか悔しい気持ちになりました。

     

    ― 少しリアルな現実を見てしまったような感じですね。

     

    高橋 : その時僕は、「デザイナーが本当に着てほしいのは、あんなお金持ちのマダムじゃなくて、あんなに服を好きになってくれているあの子たちじゃないのか?」、「どうにかしてあの子たちにこのブランドを届けることはできないのか?」って思ったんです。中古でならどうだろう? デザイナーズブランドの中古品を扱うお店はあるのか? と思い立って調べました。でも、アンティークショップの片隅にオーナーの着古した物が置いてある程度で、それを専門に扱う店は見つからなかったんです。そこで、「じゃあ、これを自分でやろう!」って決めて、すぐに企画書を作って。そしてRAGTAGが誕生したのです。

    「この店、誰にも教えたくないね」

    創業当時に取材を受けた「ファッション販売」の誌面。

    創業当時に取材を受けた「ファッション販売」の誌面。

     

    ― 現在も多くの人で賑わう竹下通りに第1号店を出されましたが、その場所を選んだのはなぜでしょうか?

     

    高橋 : 原宿は当時からファッションの聖地でした。お店を出すなら絶対原宿だって最初から決めていて、他の場所はもう全然目に入らなかったんです。ラッキーなことに、不動産屋巡りを始めた初日に竹下通り沿いのビルの2階にある広さ7畳くらいの、とてもかわいらしい物件を見つけて、すぐに契約したのが1号店です。

     

     

     

    ― オープン後の反響はいかがでしたか?

     

    高橋 : 来店された方々は「え、こんなに安いの?」と驚いて、最初はちょっと疑って品質タグをじ~と見てる人が多かったですね(笑)。

     

    ― それは今ではなかなか見られない反応ですね。

     

    高橋 : でも、「この店、誰にも教えたくないね」と一緒に来たお友達とコソコソ話しているのを聞いたときは、鳥肌が立つほど嬉しかったですね。もうお顔は覚えてないんですけど、オープン前に見た女子高生ぐらいの女の子たちが来店してくれてたら、きっと喜んでくれたろうなって。あの時の想いはそのまま今のティンパンアレイの経営理念につながっているんですよ。「お金がないから」といって、おしゃれをあきらめてほしくないなって。僕たちの役割は、「これが好き!」とか「これが欲しい!」っていう気持ちを応援することなんですよね。そういう人たちの頼れる味方でありたい! これこそが、服を作る人にも着る人にも一番素敵な結果をもたらすんだと思っています。

    競争時代に貫いた、「最大評価」の方針

    RAGTAG原宿店

    ― 40年前は、まだブランドの2次流通が一般的ではなかった時代だと思いますが、ご苦労されたことはありますか?

     

    高橋 : オープン半年くらいしたら同業店が続々と増え、すぐに競争時代に入りましたね。中でも大規模な競合店が近隣に出店したときはさすがに怖かったですね。まるで黒船襲来のようでした(笑)。

     

    ― その競合店はどうなったのですか?

     

    高橋 : 正確な時期はちょっと曖昧ですが、1年か1年半くらいで撤退していったと思います。毎日のように様子を見に行っていましたけど、日に日に商品が少なくなって、店内がすっかり寂しい感じになっていったんです。どうやら仕入れがうまくいかなかったみたいですね。

     

    ― 仕入れというのは、実際にユーザーの方からのお買い取りのことですよね。

     

    高橋 : そうです。僕はオープン当初から、「仕入れが命」という信念を持っていました。そして、何よりも服を売ってくださるお客様との繋がりを大事にしてきたんです。当時のリサイクルショップでは、「できるだけ安く仕入れる」という考えが主流だったと思います。でも、僕の考えは違います。良い商品や人気ブランドを集めるためには、買い取り価格にお客様が納得してくれないとダメだと考えたんです。

     1986年の『POPEYE』の「チープシックタウン 竹下通り」という記事でも紹介された RAGTAG。
     1986年の『POPEYE』の「チープシックタウン 竹下通り」という記事でも紹介された RAGTAG。

    1986年の『POPEYE』の「チープシックタウン 竹下通り」という記事でも紹介されたRAGTAG。

     

    ― 「お客様の納得」というのは、買取価格の部分が一番大きいですよね。

     

    高橋 : 確かに店側が商品を安く買えば、最初は利益を増やせるかもしれません。でも、それだとお客様が満足しなくて、「もうここでは売りたくない」と思われちゃいますよね。それってお店にとっては一番困ることなんです。だから、買い取り価格はできる限り高く設定しました。ただし、「高ければいい」というわけでもなくて、事業がちゃんと続けられる範囲で最大限の評価をするよう心がけていました。この方針を社内で「最大評価をする」という言葉でみんなと共有して、みんなの意識を統一したんです。そんな風に取り組んだ結果、店舗は小規模ながらも買い取りに関してはすごく良い評価をいただけました。

     

    ― この40年の間に、さまざまな競合や、オンラインの二次流通ビジネスモデルの競合も増えて来ました。それでもRAGTAGが続いて来た理由を、高橋さんはどう分析されますか?

     

    高橋 : ヤフオクやフリマアプリを使った個人間売買とか、インターネット上だけの店舗の登場など、当時と比べ物にならないぐらい競合が増えてきた中でもRAGTAGはずっと仕入れを伸ばせています。それはなぜか? 一言で言うなら、買い取りに携わるバイヤーはもちろん、スタッフ全員が買い取りのお客様に誠心誠意向き合っているからだと思います。それは40年という長い間に積み重ね続けてきた信頼です。そう簡単に競合がマネできるものではありません。RAGTAGのバイヤーは、厳しい社内基準をクリアしたプロフェッショナルなんですよ。

    「100年続く企業」への想い

    創業当時の高橋

    ― ところで、創業当初は40年後の姿を思い描いていらっしゃいましたか?

     

    高橋 : いやー、当時は僕、まだ21歳だったんですよ。正直、40年先のことなんて全然考えられませんでした(笑)。来年のことすら考えられなかったですからね。「今日を頑張る!」っていう気持ちだけで突っ走ってました(笑)。それでもですね、こうして振り返ると、本当に素敵な会社を作れたなって思います。退任してからも社員のみんなとたまに会う機会があるんですけど、そのたびに「あぁ、この人たち最高だな」ってしみじみ感じてます。

     

    ― 最後に今後のティンパンアレイ(RAGTAG)に期待することをお聞かせください。

     

    高橋 : ティンパンアレイには、ぜひ100年続く企業になってほしいなと思います。国税庁のデータによると、30年以上続く企業は5000社に1社くらいとのことです。これまでの40年の歩みだけでも大きな成果だと思いますけど、100年を目指すっていうのは、100年の間、世代ごとの価値観の変化にうまく対応して、時代のニーズにしっかり応え続けるってことですよね。ティンパンアレイなら、それを成し遂げる力があるって信じています!

     

    高橋直樹

    1963年生まれ。ミュージシャンを目指して活動中の21歳の時に、ブランドリユースのビジネスを発案し、原宿・竹下通りにRAGTAGをオープン。代表取締役として事業を拡大させる中、2014年に勇退。現在は新たな事業を構想中。

     

     

    interview : Yukihisa Takei(HIGHVISION)

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