
No.04 「1985年生まれの名品たち。」ナイキ エア ジョーダン1
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イマに続く1985年の40のコト。
1985年に生まれて、現在もその輝きの失せない名品を、RAGTAGスタッフがご紹介。
今回は[ナイキ]の “エア ジョーダン1(Nike Air Jordan1)” について。
photo : TAWARA(magNese) / edit : Yukihisa Takei(HIGHVISION)

Profile
KUMAGAI
usebowlチーム マネージャー
ファッションに興味を持ち始めたのは30年前の15歳の頃。アメリカのスケートブランドのグラフィックにハマり、そこから雑誌「BOON」を教科書代わりに70~80’sヴィンテージを通って、90年代は裏原ブランドにどっぷり。集めたアイテムは今でも大事に取ってあります。
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“ナイキ エア ジョーダン1” とは?

2022年に復刻して発売された “エア ジョーダン1 2022 シカゴ(別名「ロスト&ファウンド」)”。当時のカラーリングはもとより、ボックスまでこだわり抜いた仕様になっています。
1985年に発売された “エアジョーダン1(以下AJ1)” は、バスケットボール界のスーパースター、マイケル・ジョーダンのNBAデビューの翌年に誕生したシグネチャーモデル。当時のアメリカで65ドルという価格で発売されました(参考 : 1985年末は1ドル=200円前後なので、13,000円程度)。
ジョーダンの所属チームであった、「シカゴ・ブルズ」のチームカラーをあしらったモデルが、当時のNBAの規定に違反していたものの、ナイキが罰金を肩代わりしてジョーダンが着用を続けていた事はエピソードとして有名です。
当時から現在まで人気の高いモデルですが、ヴィンテージスニーカーの中でも謎多きスニーカーの代表格であるのがこの “AJ1”。その謎の一つとして、流通しているカラーリングが何色あるかわからない、という点にあります。これは現時点でも解明されていないはずです。
1985年発売時は9色~12色が公式カタログで確認できておりますが、そのほかにアメリカの大学別注モデルが複数存在していること、ウイングマークが「AIR JORDAN」ではなく、「NIKE」のロゴになっているモデル、ウイングマークがそもそも無く、大学のバスケチーム名が入っているモデル、サンプルカラー等、その種類は多岐にわたります。そういった謎があることも“AJ1 オリジナル”の魅力だと思います。

2022年に復刻されたモデルのシューズボックス。当時の広告や販売された当時のレシートまで再現しています。
1985年製オリジナルの “AJ1” との思い出

1985年製の “AJ1” 。今回ご覧いただく私の私物は9色~12色に含まれるカラーです。
私がこの “AJ1” を手に入れたのは、1997年(当時18歳)でした。裏原ブームの真っ只中。スニーカーのトレンドはどちらかというとハイテク寄りで、ヴィンテージスニーカーの相場は90年代前半のピーク時に比べて少し落ち着いていた時期でした。
スニーカーも含めたヴィンテージ物に興味を持ち始めたのは16歳くらいでしたが、当然お金が無いので欲しい物があっても指をくわえて見ることしかできず。原宿、高円寺、下北沢の古着屋を回り、雑誌で見たアイテムを見つけては「いつか手に入れたいなぁ…」と思いながら見ていました。そのうちの一つが “AJ1” (85年製オリジナル)でした。
18歳になるとアルバイトも始めてお金も少しだけ貯めることはできてきたのですが、その時はその時で裏原ブランドにハマっていたため、自分の中で “AJ1” の優先順位は下がっていました。そんな中で、当時は個人売買ならぬ「物々交換」という文化があり、結果、物々交換という形でこの “AJ1” をゲットしました。
お相手は裏原ブランド好きという共通の趣味を持っている方で、原宿のショップに並んでいるときに知り合った人でした。過去にヴィンテージ物を集めていた方で、当時の興味は裏原ブランドだったため、私が所有している裏原ブランドのアイテムと “AJ1オリジナル” を交換していただけました。
念願の “AJ1オリジナル” を手に入れたわけですが、その時すでに自分で履く気は全くなく、鑑賞用としてコレクションにしようと決めました。サイズはUS12インチ(30㎝)なのですが、鑑賞用としてはちょうどよい存在感を放つ大きさのため、全く問題ないのです。 バスケットシューズとしてはシャープで美しいシルエットであることと、オリジナル特有のつま先の反り具合、接着剤がはみ出ていて処理されていないところなども含めて、たまらないです。
現在までの “AJ1” の復刻事情、人気の理由やその価値について

2024年に発売された “AJ1” のローカットモデル “ナイキ エアジョーダン1 ロー OG「ゲームロイヤル」”
“AJ1” の復刻の中でも当時のデザインや素材を忠実に再現しているOGカラーは毎回話題となり、多くのファンから支持を得ています。また、様々なブランドやデザイナーとコラボレーションしていることからも話題が絶えず、息の長いモデルの一つになっています。
しかし、2024年~現在に至るまでの期間においては、若干の下降トレンドとなっており、モデルによって定価割れの相場に落ち着いているモデルが複数あります。スニーカーはローテク、ハイテクのトレンドを繰り返していることから、 “AJ1” の人気も同様で、この先は少し買いやすくなるのではと予想しています(コラボなどの限定モデル除く) 。
一方でヴィンテージ(~80年代)は年々流通量が少なくなっていくため、 “AJ1” 自体の価値が下がることは考えにくいのですが、実際に履くには加水分解のリスクもあるため、より鑑賞用という用途で扱われていくのではないでしょうか。
これまで幾度となく復刻し、コレクションアイテムとしても、日常の愛用品としても、いつの時代にもスニーカー好きを魅了している “AJ1” 。流行に左右されることなく変わらない美しいフォルム、そしてドラマチックなヒストリーをもつ “AJ1” は唯一無二の存在であり、今後もスニーカー史において燦然と輝くモデルであり続けるでしょう。