ウールを愛し、ウールに愛された<br>[Yohji Yamamoto]の「ウールギャバジン」

ウールを愛し、ウールに愛された
[Yohji Yamamoto]の「ウールギャバジン」

Buyer's VOICE

COLUMN

2024.02.28

デザイナー 山本 耀司が長年に渡り使い続けてきた「ウールギャバジン」。
男らしい印象でありながら、美しいドレープ感、光沢感を生み出すブランドを語る上で必要不可欠な素材で、アウター、パンツなど、どのアイテムで使用してもその魅力を遺憾なく発揮します。
80年代の東京の街では、黒のウールギャバジンを着た人々で溢れ、「カラス族」と呼ばれて社会現象にもなりました。
今回は数十年もの間愛されてきた[ヨウジヤマモト]のウールギャバジンの魅力を紐解いていきたいと思います。

TSUJII

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TSUJII

原宿店 / バイヤー

Yohji YamamotoやMaison Margielaをはじめとしたモード系ブランド、STUSSYなどのストリートブランド、また新進気鋭ブランドまで、幅広いジャンルの服を日々チェックしています!雑食なのでどんなジャンルのお洋服でも大歓迎です!原宿へお越しの際はぜひお気軽にお立ち寄りください。いつでもお待ちしております!

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    [ヨウジヤマモト]の歴史

    Yohji Yamamoto タグ

     

    ウールギャバジンについて語る前に[ヨウジヤマモト]の歴史について触れさせていただきます。

     

    1972年、株式会社ワイズ設立。そして1977年に東京コレクション、1981年にはパリコレクションに参加し、同時に[ヨウジヤマモト]をスタートしました。

     

    1981年に参加したパリのプレタポルテコレクションでは、西洋的ではない黒を基調とし、穴の開いた加工、体のラインを隠すシルエット、そしてアシンメトリーなデザインを全面に出したコレクションを発表し、後にそれが黒の衝撃と評されました。「西洋の伝統的な美意識に異議を申し立ててきた」と口にするなど、みすぼらしさに美しさを見出す概念がなかった西洋文化に真っ向から対立しました。

     

    賛否両論ではありましたが、結果として黒を全面に押し出したファッションは世界的に流行し、ファッション界に大きな旋風を巻き起こしました。

     

    yohji yamamoto コート

     

    その後スポーツブランドである[アディダス]とコラボ。今でこそ当たり前な、モードブランドとスポーツブランドのコラボレーションですが、当時は過激なアイディアだとされていました。これもまたファッション界に新たな当たり前をもたらしたと言えます。

     

    このように[ヨウジヤマモト]は、固定概念、時代の流れに流されない反骨精神のもとファッション業界に革新をもたらし、今日までファッションを発信し続けています。

     

    「ウールギャバジン」とは

    yohji yamamoto コート

     

    そもそも「ウールギャバジン」とは何かと言いますと、ウールを「ギャバジン」という綾織の一種で織った素材の名称です。

     

    ここでギャバジンについて深堀していきます。

    ギャバジンは前述したように綾織の一種で、糸の交差部分が斜めになるのが特徴です。地合は密で柔らかく、伸縮性に優れ、シワがよりにくい等のメリットがあります。

     

    また、現在では一般的な名称とされていますが、かつては「バーバリー社」の商標でした。1888年、創始者のトーマス・バーバリーが、丈夫で、悪天候にも対応出来る素材として考案し、1902年の商標登録されました。

     

    とにかくタフで機能的な生地の織り方ということが分かりますね。

     

    yohji yamamoto コート

     

    それを踏まえてウールギャバジンの特徴を三つ上げさせていただきます。

     

    一つ目は撥水性です。
    こちらはウールギャバジンに限った話ではないですが、ギャバジン織りは生地の密度が高く水を通しにくいので、撥水性があります。これにより、汚れが落ちやすいと言えます。

     

    二つ目は高い保温性です。
    暖かくしてくれるウールと高密度のギャバジン織りを掛け算することで、高い保温性を誇る最強の素材になります。流石にムレてしまうのでは?と考える方もいらっしゃると思いますが、そこで活きるのが「水は吸わないけど、湿気は吸ってくれる」というウールならではの特性です。これにより、暖かく快適な素材が実現しているのです。

     

    三つ目は、光沢感と美しいドレープです。
    波打つような、滑らかな動きとコットンなど他の素材では出せない柔らかく優しいドレープ感が特徴的です。上品な光沢感を持ち合わせていて、長年愛用することでさらにその光沢感は増していきます

    このドレープ感は、力強さと美しさを体現し、着ている人の人となりを表現する[ヨウジヤマモト]の象徴的な素材といえます。上質なウールで織られたギャバジンだからこそ、[ヨウジヤマモト]のクリエイションをより分かりやすい形で表現できる。長年ブランドのアイコン的な素材になっている要因はここに詰まっていると思います。

    そして私も、身体にまとった時に感じるたっぷりとした生地量、それがしなやかに揺れ動く美しいドレープ感に惹かれて、[ヨウジヤマモト]を着始めました。

     

    以上三つが代表的なウールギャバジンの特徴でした。

     

    また、同じウール素材でもウールの仕上げの工程で、織物に軽くシワやシボを付け、ウール本来の風合いを出した「シワギギャバジン」、ウールギャバジンよりも太い糸でギャバジン織りされた、男らしい風合いが特徴の「アーミーギャバジン」などがあります。同じウール素材でも、表情が違うのでぜひ自分好みの生地を探してみてください。

     

    2023年春夏コレクションから「心しずかに....」 

    Yohji Yamamoto コート
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    最後に、ウールギャバジンを使った個人的におすすめのアイテムを紹介して締めたいと思います。

     

    今回ご用意したのは[ヨウジヤマモトプールオム]の2023年春夏コレクションのラストルックを飾った、ウールシワギャバジンのレイヤードコートです。

    前身頃には「Beyond emotions」、背中には「心しずかに….」の山本耀司直筆の文字がとても印象的。[ヨウジヤマモト]ではデザイナーの直筆の文字が入ったアイテムが度々リリースされており、強いメッセージが込められているようです。

     

     

    yohji yamamoto コート

     

    前身頃は二重で仕立てられていて、ウールシワギャバジンの生地をたっぷりと使っています。より一層、ウールギャバジンの成す色気や貫禄が感じられるコートになっています。

     

    秋冬春の主役アウターと言える贅沢な一点でロング丈でドレープ感も美しく大変おすすめです!

     

    最後に

    記事画像

     

    ウールギャバジンは[ヨウジヤマモト]が持つ、鎧をまとったようなたくましさと、色気を持ち合わせた、独特な世界観を余すことなく表現する素材です。その風合いや、歩くたびに揺れ動き、自分の影を思わず目で追ってしまうほど美しいドレープ、高い機能性、そして長年着用することで変化する光沢感や肌触りなど、本当に沢山の魅力が詰まっています!その魅力が少しでもみなさまに伝わっていれば幸いです。

     

    最後までお読みいただきありがとうございました。

     

     

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