[Brooks Brothers]の歴史とシンボルアイテム
Buyer's VOICE
こんにちは。心斎橋店バイヤーのNISHINAKAです。
今回はアメリカン・トラディショナルの元祖、[ブルックスブラザーズ]について、ブランドの成り立ちと代表するアイテムをお話しさせていただきます。
Profile
NISHINAKA
心斎橋店 / バイヤー
心斎橋店の西中です。小学生の頃に裏原系に憧れを持った事から洋服に興味を持ち、今でも変わらずファッションの楽しさに魅了されています。雑食なのでデザイナーズからストリート、ヴィンテージまで幅広いスタイルの洋服を好んで着ます。みなさまとお会いできる時を楽しみにしております。
- 過去の執筆記事
- /magazine/author/nishinaka/
index
[ブルックスブラザーズ]とは
アメリカ合衆国が建国されて40年あまりの1818年、[ブルックスブラザーズ] の前身でもある[H. & D. H. Brooks & Co.]がヘンリー・サンズ・ブルックスによって創業されました。
ヘンリー・サンズ・ブルックスの死後、経営を引き継いだ長男のヘンリー・ジュニア・ブルックスは、1845年にアメリカで初めての既製品のスーツを発売します。最高品質の商品のみを顧客に提供するという創業者の理念はそのまま受け継がれ、アメリカがゴールドラッシュに沸いた1840年後半には高品質なスーツを求める顧客が殺到しました。
その後、彼の弟のエドワード、エリシャ、ダニエル、ジョンのブルックス兄弟が経営を引き継ぎ、1850年社名を「Brooks Brothers」へと改名。同時に、おなじみのマークとなったゴールデンフリースのロゴを採用しました。
原点にして頂点 “ポロカラーシャツ”
今回は[ブルックスブラザーズ]を語る上で欠かせないアイテムを紹介いたします。
やはりこのシャツを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
[ブルックスブラザーズ]での正式名称は“ポロカラーシャツ”。
創業者の孫、ジョン・E・ブルックスが英国のポロ競技を観戦中、選手のユニフォームの襟がパタパタとなびくのを防ぐためにボタン留めされていたのを発見。そのデザインをシャツの仕立てに落とし込み販売し、今でもアイコンアイテムとして君臨し続けています。“ボタンダウンシャツ”を初めて作成したのが、[ブルックスブラザーズ]です。
個人的に好きなのはこの襟です。
長めに作られた襟は、ボタン留めすると緩やかにS字を描くロール具合がとても美しい。タイをしたときに立体感を作るためのこだわりです。第1ボタンを外して着用しても、襟元の開きがゆったりとした縫製で、バランスが考えられています。
着丈は、脇に向かってカーブされており、クラシックなドレスシャツをイメージされています。ボタンダウンシャツは様々なブランドからも出ていますが、やはり[ブルックスブラザーズ]一番だと感じます。フォーマルシーンでも、第一ボタンを開けてカジュアルに着ることもできる優れものです。
オールド品の高騰
古くから存在するブランド故に、やはりオールド物は価格も高騰しています。
こちらは1980年~1990年に生産された“ポロカラーシャツ”。US生産が主流だった1990年代頃までのアイテムは、現代にもマッチする程よいシルエットのゆとりが特徴的です。
90年代の見分け方としてタグにMADE IN USAの表記があります。ちなみに、このタグの「makers」 のというのは、全ての工程をアメリカの自社工場で行うハイエンドモデルという意味があります。全て手作業で仕立てられるシャツにはこだわりが感じられます。
最近復刻で、「makers」の表記がされた“ポロカラーシャツ”が発売されていますので、ぜひチェックしてみてください。
また、今は存在しないアメリカのテキスタイルメーカー「ダンリバー」社の最高級ス―ピマコットンを使用しており、その希少性からも価値が上がっています。
写真の物は数年前にデッドストックで購入した私物でかなり頻繁に着こみましたが、まったくヘタれないどころか、ガシガシとしていた生地が滑らかになって、むしろ着心地が良くなっているように感じます。
“No.1サックスーツ” × JUNYA WATANABE MAN
そしてもう一つの名品がこちらのジャケット。
1901年、ブルックスは“No.1サックスーツ”という名で新型のスーツを発売しました。
それまでの主流だった構築的な仕立ての英国流とは相反するナチュラルなショルダーラインや直線的なボックスシルエットにセンターベントという、現代にも継承されているアメトラのブレザーの基本形。そして最も特徴的なのは3ボタンの段返り襟。
当時3ボタンから2ボタンに流行が移っている中、お金の無い学生たちは持っていた3ボタンジャケットの一番上のボタンを隠すように襟を折って着ていました。
ここに[ブルックスブラザーズ]は目を付け、その着方を新しいスタイルとして採用したそうです。
ジャケットにおいてもほとんどデザインは変わらず、古さも感じません。カチッとした格好は好まないので、春先はTシャツやショーツ、冬場はフーディーやワイドパンツと組み合わせてカジュアルに着ています。
こちらは[ジュンヤワタナベマン] とのコラボレーションで、裏地が迷彩柄にアレンジされています。
トラディショナルでありながら他社とのコラボレーションにも寛容な点も魅力です。
最後に
アメトラ好きなら知らない人はいない[ブルックスブラザーズ]。
まだ着た事の無い人もぜひシャツから手に取ってみてはいかがでしょうか。定番シャツやブレザー、ポロコートなどは、年代を越えて愛されています。この先も人気が衰えないブランドです。
RAGTAGでも、現行品からオールド品まで幅広くお買い取り強化しています。出番が減ったものがございましたら、ぜひお持ち込みください。みなさまと[ブルックスブラザーズ]のお話ができることをお待ちしております!
[ブルックスブラザーズ]のアイテムをオンラインショップで見る