[DIESEL]グレン・マーティンスによる革新
Buyer's VOICE
こんにちは。神戸店のFUJIIです。
今回ご紹介させていただくのは、私の五指に入る程好きなデザイナーである、グレン・マーティンスがクリエイティブディレクターを務める[ディーゼル]。生まれ変わった[ディーゼル]を紐解いていきます。
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FUJII
神戸店 / バイヤー
新進気鋭のブランドからヴィンテージまで幅広いお洋服に興味があるので、お話しできるジャンルの広さには自信があります!人生の半分以上を眼鏡とともに過ごしてきたので、アイウェアに関してもお任せください! また、ファッションと同じくらい音楽やアートなどのサブカルチャーが大好きですので、ディープに語りましょう。 現在は、Samuel Zeligというブランドにハマっております。毎日毛色の異なるコーディネートで出勤しているので、ぜひのぞきに来てください!
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[DIESEL]とは
〔ディーゼル〕は、1978年にレンツォ・ロッソとアドリアーノ・ゴールドシュミットによって設立された、デニムを主力としたイタリアのブランドです。
みなさんご存知のブランドかと思いますが、2020年に新たなクリエイティブディレクターが彗星の如く現れました!そう、彼こそが、「グレン・マーティンス」です!
グレン・マーティンスとは
グレン・マーティンス(以下グレン)は、[ジャン=ポール・ゴルチエ(以下ゴルチエ)]でキャリアをスタートさせ、その後、2013年に前デザイナーから引き継ぐ形で[ワイプロジェクト]のクリエイティブディレクターに就任しました。
[ワイプロジェクト]は、[ゴルチエ]でのキャリアを感じさせるような、アバンギャルドかつ実験的なクリエイションが特徴のブランドです。そんな鬼才のデザイナーが[ディーゼル]に……。どうなっちゃうのー?と、当初は私もそう思いました。
ところが、グレン就任後の初コレクションを見て、その技量を見せつけられました。自分のブランドかと言わんばかりのアバンギャルドでミステリアス。しかしながらブランドのアイコンである“Dロゴ”やデニムをベースとしたコレクションは、流石の一言でした。
「トロンプルイユ(だまし絵)」
では、ここからはグレンが手掛けたアイテムについて解説していきたいと思います。
こちらは前述した、グレンのデビューシーズンのPOPUP限定発売の一着。
一見ただのデニムシャツではないですか。いえ、実は襟と前立てのみがデニム地になっており、その他はとろみのあるシャツ地に転写プリントがされている、所謂「トロンプルイユ」のデザインです。トロンプルイユとは、簡単に言えば「だまし絵」のようなものです。服好きのみなさんであれば、トロンプルイユと言えば、マルタン・マルジェラを浮かべる方も多いのではないでしょうか?
実は[ゴルチエ]に関しても、同時期にトロンプルイユを用いたアイテムを発表していました。ここでも師の影響が感じられます。実際に[ワイプロジェクト]でも[ゴルチエ]とのコラボレーションを果たし、そこでもトロンプルイユが用いられています。
[DIESEL]とグレンの邂逅
こちらのアイテムはグレンが、2018年に[ディーゼル]の実験的カプセルコレクションである[ディーゼル レッドタグ]のゲストデザイナーとして迎えられた時の一着。ボディスーツ型のスウェットで、スナップボタンの開閉で様々な着こなしが可能です。
ここでグレンを語る上で切っても切れないワードが「ジェンダー」と「サステナブル」です。こちらのカプセルコレクションは、全アイテムオールジェンダーでの提案。近年、ウィメンズのトレンドアイテムとして挙げられるボディスーツですが、現在まだまだメンズには浸透していないこのデザインを約6年も前にユニセックスで提案できてしまうのは流石ですね。
他には、ゲイ・アートのパイオニアであるトム・オブ・フィンランドとコラボレーションしたコレクションを何度も発表しており、ジェンダー問題に向き合おうという姿勢がひしひしと伝わってきます。
ここで面白いのが、1990年代の人種差別や性差別問題を問題として捉えられていなかった時代から、[ディーゼル]もこれらの諸問題に言及するアドバタイジングを行っていました。そういったことも考えると、タイトルでは邂逅と書きましたが、両者の出会いは必然だったかもしれないですね。
現在グレンが手掛ける[ディーゼル]のブランドタグは赤色で統一されていますが、恐らくこのカプセルコレクションのタグの色を意識しているのではないかと勝手に予想しています(笑)。
地球にやさしいデニム
次に、「サステナブル」についてです。
グレンが就任してから[ディーゼル ライブラリー]というデニムラインが誕生しました。ブランドのサステナブル戦略である“For Responsible Living(責任ある生き方)”の新たなプロジェクトであり、地球環境に配慮しながらデニムを生産しています。
ブランドのホームページでは、デニムの生産の裏側を覗けるドキュメンタリー“Behind the Denim”が公開されています。私も視聴しましたが、全編英語なので詳しいことがわかりませんでした(笑)。
ただ、デニムの加工風景や[ディーゼル]のDNAを感じられる映像となっているので、[ディーゼル]好き、デニム好きの方は必見です!
デニムの激しい加工とは裏腹に環境に対してここまで考えられていると尊敬します。まるで、強面の人が猫に優しくしているようでキュンとしますね。
最後に
いかがでしたでしょうか。
現在[ディーゼル]は、直営店のほかにセレクトショップでも取り扱いが増えおり、ますます人気が上昇することが予想できます。
RAGTAGでは、[ディーゼル]のアイテムをお買い取り強化中です。新作から過去のアイテムまでお買い取りをさせていただきますので、出番の少なくなったものがあれば、ぜひ、ご相談ください!