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BUYER'S VOICE RAGTAGバイヤーのファッション偏愛をお届け!

RAGTAGスタッフもお客さまと同じくらいファッションが大好き。
このコーナーでは、豊富なファッション知識を持つバイヤーたちが、
自ら偏愛するブランドやアイテムをご紹介します。

私の好きなブランド、あのアイテム

THOM BROWNE
”ユニフォームとしての魅力”

社外仕入チーム バイヤー 磯 雄太

■歴史を変えたスタイリング

今では日本でもお馴染みになった、[THOM BROWNE(トムブラウン)]の革新的なスーツスタイル。それは、世界中のスーツのスタイリングをガラッと変えてしまいました。

突然ですが、イケてるスーツのビジネスマンを想像してみてください。

想像できましたか?
着丈の長いジャケットに、太いネクタイ、ヤボったいパンツをフルレングスで履いてるビジネスマンを想像しましたか?違いますよね? みなさんきっと、ウエストに絞りのある腰丈ぐらいのジャケットに、細めのネクタイ、パンツは細く丈は少し短めで、黒ソックスがチラッと見えるぐらい。 そしていい生地のスーツを着ているビジネスマンを想像したと思います。 みなさんにも潜在的にある、現代のイケてるスーツの感覚。 その感覚は少なからず[トムブラウン]のスタイルが影響を与えているんです。

■ユニフォームとしてのスーツ

2001年からブランドが始まり、ニューヨークコレクションやパリコレクションでは、毎回エキセントリックなショーを見せてくれます。
そんな奇才と呼ばれる[トムブラウン]ですが、デザイナー本人は、シンプルなグレーのセットアップスーツしか着用しません。20着程のトーン違いのグレースーツを日々順番に着ていって、またはじめに戻る。ユニフォームを着るように毎日同じスタイルをしているそうです。
私も8年程グレースーツを愛用していますが、このスタイルが大好きです。朝、服を選ぶ時間も思考も必要ないですし、着てしまえば必ずキマる。スーツなので誰に会っても失礼がないですし、スーツなのにこれが私ですというファッション性の主張も忘れていない。非の打ち所のないスタイルだと思います。
友人達と、全身[トムブラウン]で集まった時には、なんとも言えないクルー感があり、初めて会った人ともお互い[トムブラウン]を着ているだけで共通認識があるというか、既に分かり合えているような感覚が生まれます。
昭和の不良が短ランにボンタン、ヘアスタイルはリーゼントだったように、学生服の集団から不良スタイルを確立する事で、自分を表現してきたのと同じ原理だと思います。
[トムブラウン]のスタイルは、みんな同じに見えるスーツの集団に埋もれない、私は私ですと自己表現、主張ができる人の新しいユニフォームなんだと思います。

■スーツ界のストリートスタイル

[トムブラウン]がなぜ普通のスーツと違うのか、なぜ違うようにみえるのか、少しだけ説明します。
簡単に言えば最高級スーツの着崩しです。基本的に、[トムブラウン]の製品は全て高級素材です。その高級素材を絶妙なバランスで着崩しているんです。

スーツはアメリカンクラシックスーツの黄金比率を上に上げたスタイルで、Vゾーンが高く、全ての着丈は短めです。ジャケットはウエストを絞り、段返りの3つボタン。ミドルボタンだけを留め、袖の一つめのボタンは外します。寒い時にはカシミヤのカーディガンを挟みます。

シルクのネクタイは小さく緩く結び、ボタンダウンのオックスフォードシャツは洗いざらしのシワシワのまま着用。袖のボタンやカラー、第一ボタンは留めません。シルバーのタイピンと、麻のチーフも忘れずに。

パンツはダブル幅約7cmと太めの仕立て、アキレス腱が見える程短めの丈に設定。シューズは無骨なシボ革のロングウイングチップ、手入れはせず磨かない。
スーツをルール通りキチッと着るのではなく、ルールに反した着崩しをする。普遍的なスーツではなく、細かく計算された最高級スーツでやるからこその着崩しの成立なんです。直営店に行けば私より詳しく教えてくれますので、なかなか値段は張りますが、是非ストリートなスーツに袖を通してみてほしいです。

磯 雄太

バイヤー歴7年。B系産まれ、ストリート系育ち。いつしかアメリカントラディショナルに魅了され、ジャケットスタイルで接客をする日々をおくる。現在は宅配買取の部署にて、全国のお客様のお買い取りを担当。

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